仁左衛門７年ぶりドラマ…フジ「我はゴッホになる―」

　歌舞伎俳優・片岡仁左衛門（６３）が７年ぶりにドラマに出演することが９日、分かった。フジテレビ系「我はゴッホになる！―愛を彫った男・棟方志功とその妻―」（９月放送予定）で、劇団ひとり（３１）演じる棟方志功（むなかた・しこう）の才能を認め、厳しくも温かく見守る民芸運動の指導者・柳宗悦（やなぎ・むねよし）を演じている。襲名後は歌舞伎での活動が目立ったが、久々の映像での仕事に「現場は懐かしいし、好きです」と話している。

　端正で二枚目な顔だちの片岡仁左衛門が、久々にお茶の間に戻ってくる。２００１年ＮＨＫドラマ「四千万歩の男・伊能忠敬」以来、７年ぶりのドラマへの本格出演。劇団ひとりがドラマ初主演するフジテレビ系「我はゴッホになる！　愛を彫った男・棟方志功とその妻」（９月放送予定）で、ひとり演じる天才版画家・棟方志功の才能を真っ先に認めた民芸運動の指導者で美術評論家の柳宗悦を演じる。

　仁左衛門は孝夫時代は、テレビドラマに数多く出演していた時期がある。「眠狂四郎円月殺法」（１９８２年）の眠狂四郎や９１年のＮＨＫ大河「太平記」で後醍醐天皇を演じ話題を呼んだが、襲名後はほぼ舞台に専念していた。今回、東康之プロデューサーが「ドラマ初主演の劇団ひとりさんが演じる棟方志功が乗り越える高い山の存在の柳宗悦を、実際、歌舞伎の世界で美を追究し続けている仁左衛門さんに演じてもらいたい」とラブコールを送り、出演が実現した。

　仁左衛門もファンから「テレビにもっと出てほしい」という声を数多く受けていたが、歌舞伎のスケジュールもあり、ドラマ出演を断ってきていた。昨年のフジテレビ系「奇跡の動物園２００７」には特別出演でワンシーンのみの出演。今回は長男の孝太郎と、柳宗悦の孫が小学校の同級生という因縁と、台本の素晴らしさに出演を快諾した。久々の現場に「僕がよく出ていたころの現場と雰囲気が変わっている。撮り方も含めてね。現場は懐かしいし、好きです」と話した。

　「柳宗悦が棟方志功に言った『もっと仕事を煮詰めなさい』という言葉はいろいろなことに通じますね。若い人には苦い人間が必要なんです」厳しい梨園の世界にいるだけに、言葉の持つ重さも十分理解している。仁左衛門を襲名して１０年。「現役（でいられる）かどうかが大事。常に旬でいたい。人生も仕事も旬で…」。華やかな歌舞伎での活躍と同時に、今後は、ドラマでの活躍も増えそうだ。

　◆仁左衛門父を撮影１８日マラソン上映　○…仁左衛門の父・１３代目片岡仁左衛門を撮影した映画「歌舞伎俳優　片岡仁左衛門」（羽田澄子監督）が８日から下北沢トリウッドで上映されている（２８日まで）。９４年に９０歳で亡くなるまでの７年間の舞台、けいこ風景などを撮影し、全編１０時間４１分のドキュメンタリーを６編に分けて上映。本編上映前に現・仁左衛門のメッセージが上映されるほか、１８日には１日で６編を順番にマラソン上映する。

　◆片岡　仁左衛門（かたおか・にざえもん）本名・片岡孝夫。１９４４年３月１４日、大阪府生まれ。６３歳。１３代目片岡仁左衛門の三男。４９年本名の片岡孝夫で初舞台。「女殺油地獄」の与兵衛などを当たり役とし、坂東玉三郎との“孝玉コンビ”で人気を博す。９３年に肺を患い、約１年間、闘病生活を送る。９８年、１５代目・仁左衛門を襲名。昨年、紫綬褒章受章、日本芸術院会員。長男は歌舞伎俳優・片岡孝太郎、長女は女優・片岡サチ（汐風幸改め）、二女は女優・片岡京子。血液型Ｏ。屋号は松嶋屋。

参照元：スポーツ報知